はじめに:マウスピース矯正とは?
「バレない矯正」が可能に!付け外しが可能な透明の矯正装置
マウスピース矯正とは、薄くて透明のマウスピースを歯にぴったりと装着することで歯を動かす矯正方法です。定期的にマウスピースを取り換え、ゴールの歯並びに近づけていきます。
従来のワイヤー矯正装置では、いったん治療を始めたら終了までずっと装置を装着したまま。一方、マウスピース矯正なら食事や歯磨きの時には装置を自分で外すことが可能です。薄くて透明なので、見た目や発音に影響することもほとんどなく、違和感も最小限で済みます。
マウスピース矯正はこんな人におすすめ
人と接する仕事なのでとにかく目立たずに矯正したい人
話しているときや笑ったときに、装置がギラっと見えてしまうのがイヤだという人におすすめ。マウスピース矯正は、よほど近くでまじまじと見ない限り分かりません。
金属アレルギーの人
従来のワイヤー矯正装置には、アレルギーの原因となるニッケルやクロムが含まれているため、まれではありますがアレルギー反応を起こす可能性があります。チタンやセラミックなどの素材を使用することもできますが、治療内容に制約が出たり費用がかさんだりする場合も。
マウスピース矯正なら金属は全く使わないため、金属アレルギーの人も安心して治療できます。
治療中に虫歯にならないか心配な人
従来のワイヤー矯正装置では、特別な歯ブラシを使って装置の隙間を縫うように歯磨きする必要があり、磨ききれずに矯正中に虫歯になってしまうことも。そうなれば、装置をいったん外して虫歯の治療をし、治療完了後また装置をつけなおす羽目になってしまいます。
マウスピース矯正の場合、マウスピースを外して心ゆくまで歯磨きすることができます。万が一矯正中に虫歯ができてしまっても、マウスピースを外して治療すればよいので安心です。
痛みや違和感の少ない治療を望んでいる人
ブラケット(歯につけるワイヤー矯正装置)が粘膜や舌に当たって違和感や痛みが出るという悩みも、マウスピース矯正なら無縁です。ごく薄い装置なので、発音に影響することもほとんどありません。
矯正中でも制限なく食事を楽しみたい人
ワイヤー矯正装置装着中の食事は、装置に引っかからないようなものを食べるようにしたり、装置が黄色く変色しないようカレーを我慢したりと、制限が多くなりがち。マウスピース矯正なら、装置を外して好きなものを食べ、キレイに歯磨きしてまたマウスピースを装着するだけです。
マウスピース矯正のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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マウスピース矯正には、見た目や発音に影響しないという圧倒的なメリットのほか、随時外せるため歯磨きや食事が便利という長所もあります。
歯並びがキレイになると口元の美しさにも一層意識が向くものですが、マウスピース矯正中(多くは終盤)に、マウスピースをトレー代わりにして歯のホワイトニングができるのもうれしいポイントです。
ただしマウスピース矯正はどんなケースにでも適用できるわけではなく、種類によりますが多くの場合比較的軽度の歯列不正に対して有効です。
また自由に外せるからといって頻繁に外してしまい、定められた1日の装着時間を割ってしまうと、計画通りに治療が進まず期間延長になってしまうため、注意が必要です。
マウスピースの種類によっては、何度も型取りをしてマウスピースを作り替えていく必要があるタイプも。型取りの苦手な人は、どのタイミングで何回くらい型取りするのか、治療の工程をしっかり理解したうえで種類を選択するのがおすすめです。
マウスピース矯正の種類
マウスピース矯正にもいくつかの種類があり、それぞれにかかる費用や期間、適した症例が異なります。特徴を理解し、自分に最適なタイプのものを選択しましょう。
1. インビザライン
世界で最も普及しているマウスピース矯正。幅広い症例に適用できる
出典:矢野歯科医院
費用の相場 | 800,000円~1,100,000円 |
矯正にかかる期間 | 2年~2年半 |
メリット |
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デメリット |
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こんな人におすすめ! | 信用できるブランドのものを使いたい人、複雑な治療や規模の大きい治療を考えている人 |
インビザラインは世界100カ国以上で使われ、400万人以上の治療実績があるマウスピース矯正方法です。1つのマウスピースで約0.25mmずつ歯を移動させ、理想の歯並びまで10日~2週間ごとにマウスピースを交換していくシステムになっています。
コンピューターのシミュレーション結果をもとに矯正装置を一括して製作するため、通院は2~3ヶ月に1回でOK。コンピュータによる3Dシミュレーションにより確実な治療が可能になるため、適用症例が比較的幅広いのが特徴です。
ただし、型取り後に専門の工場でマウスピースを製作するのに1~2ヶ月かかるため、治療の開始が遅くなってしまうのが難点。また、ほかのマウスピース矯正よりも高めの価格設定になっています。
初回の歯型取りで全てのマウスピースを製作するため、もし途中で虫歯治療などによる変化があった場合は、作り直しになることがあります。もちろん、虫歯治療は通常前もって行います。
2. アソアライナー
日本製の痛みの少ないマウスピース矯正。部分矯正や簡単な症例におすすめ
費用の相場 | 400,000円~600,000円 |
矯正にかかる期間 | 症例により異なる |
メリット |
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デメリット |
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こんな人におすすめ! | 痛みが少ないことを重視する人、小規模の簡単な治療で済む人 |
日本国内で専門の技工士が製作するため、型取りからマウスピースの出来上がりまでの時間が短いのが特徴の「アソアライナー」。約1ヶ月に1回の来院ごとに新たに型を取るシステムです。
型取りが多くわずらわしさはありますが、その分途中で虫歯治療など思わぬ変化が起きても臨機応変に対応可能。ソフト・ミディアム・ハードの順にマウスピースを取り換えていくため、痛みが出にくいのも特徴のひとつです。
インビザラインに比べて適応症例の幅が限られており、ガタガタがひどい場合やかみ合わせの問題が大きい場合には治療することができません。奥歯には問題なく前歯だけそろえたい場合や、歯と歯の隙間を閉じたい場合などは、アソアライナーが適用となります。
アソアライナーの費用体系は、マウスピース1回作成ごとに費用がかかるシステムになっています。回数が少なくて済む簡単な症例であれば、大きくコストを抑えられます。
一方、回数のかかる複雑な症例の場合、インビザラインなど他の手法のほうがトータルで安くなることもあるため、検討が必要です。
3. キレイライン
手軽で安価、ホワイトニングも!前歯6本のみに特化した新しいマウスピース矯正
出典:キレイライン公式
費用の相場 | 100,000円~300,000円 |
矯正にかかる期間 | 約5ヶ月~1年3ヶ月 |
メリット |
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デメリット |
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こんな人におすすめ! | 見えるところだけキレイにしたい人、出費や治療期間がプレッシャーになり矯正をためらっていた人 |
「歯の矯正をもっと手軽に、すべての人へ」というコンセプトで、画期的な低料金での矯正治療を実現。上下の前歯6本、つまり見える範囲に特化したマウスピース矯正です。
治療期間の目安が約5ヶ月〜1年3ヶ月という短さなのもプレッシャーを感じさせません。治療したい分だけ契約してお金を払い、十分だと感じたらそこでやめてもよいという、今までにない自由さもポイントです。
現時点では東京都・神奈川県・大阪府・岡山県に取り扱いクリニックがあるため、通いやすいところにあるかどうか確認が必要です。
「初回2万円から矯正できる!」と話題のキレイライン矯正。費用は目安総額10~30万円、治療期間は約5ヶ月~1年3ヶ月(個人差があります)と手軽さが評判です。 その安さの理由やメリット、怪しくはないの?…などなど、気になる疑問を全部まと[…]
4. DENマウスピース
寝ている間に矯正できてストレス軽減。福岡生まれのマウスピース矯正
出典:DENマウスピース矯正
費用の相場 | 300,000円~1,200,000円 |
矯正にかかる期間 | 症例により異なる |
メリット |
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デメリット |
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こんな人におすすめ! | 日中はマウスピースを装着したくない人 |
主に寝ている間の装着で歯を動かしていく、ストレスの少ないマウスピース矯正です。来院ごとに型取りをするところが少し大変だと感じるかもしれませんが、虫歯など予期せぬ変化に対応できるという強みでもあります。
ほかのマウスピース矯正と異なり、日中気軽に食べ物をつまんだりコーヒーを飲んだりできるため、学校や職場での付き合いに際して気まずい思いをする心配もありません。
5. イークライナー
3Dスキャンの最新技術で型取り回数を抑え、治療期間も短縮
費用の相場 | 400,000円~500,000円 |
矯正にかかる期間 | 症例により異なる |
メリット |
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デメリット |
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こんな人におすすめ! | 痛みが少ないことを重視する人、型取りが嫌いな人 |
「アソアライナー」の前身である「クリアアライナー」の進化版。現在扱っている歯科は、全国でおよそ1600箇所あります。
費用や痛みを抑えられるメリットはそのままに、最新のCAD/CAM技術を使うことで毎回の型取りが不要になっています。
6. アクアシステム
スピード美白矯正!価格は安め、通院は少なめで負担軽減
出典:トオル歯科ケアクリニック
費用の相場 | 200,000円~300,000円 |
矯正にかかる期間 | 症例により異なる |
メリット |
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デメリット |
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こんな人におすすめ! | 安価に良い治療を受けることを希望している人 |
「アクアフレーム」と呼ばれる透明マウスピースを取り換えながら、約0.5mmずつ歯を動かしていく「アクアシステム」。ひとりひとりの患者の歯の移動に合わせ、マウスピースを毎回ハンドメイドで作ります。
通院は4週間~6週間に1回と少なめですが、毎回型取りが必要です。場合によってはほかの技法と組み合わせることで、期間を大幅に短縮できます。
マウスピース矯正の治療の流れ
1. 初診
治療について、具体的な説明や相談を行う「カウンセリング」と呼ばれる話し合いを持ちます。
この時に、自分のケースでの費用や治療期間の目安についても確認し、分からないことは何でも質問しておきましょう。
担当医に、自分のケースと似た治療例があるかどうか尋ね、あればビフォーアフターの写真などを見せてもらうのもおすすめです。
2. 検査
レントゲンによる診査や口腔内写真の撮影、歯の型取りなどを行います。歯や顎骨の状態を正確に分析したうえで、最適な治療計画を作成します。
3. 説明と同意
作成した治療計画を、担当のドクターが説明します。正確な費用や治療期間についても知らされます。複数の選択肢がある場合は、メリットとデメリットについてしっかり理解したうえで、納得のいく選択を行うことが大切です。
4. 準備
虫歯や歯周病があれば、まず治療するのが原則。矯正中の虫歯発生などのトラブルを防ぐため、クリーニングや歯磨き指導も受けます。
5. 治療
マウスピースを作成し、計画に従って取り替えながら、理想の歯並びへ近づけていきます。マウスピース矯正の種類により通院頻度や型取りの回数には違いがありますが、いずれもシミュレーション通りに歯が動いてきているかを通院のたびにチェックします。
6. 再評価
治療終盤には再評価を行い、治療を延長するか保定へ進むかを決定します。
7. 保定
歯がきれいに並んでも、骨が落ち着くまでは不安定な状態が続きます。せっかくの治療が後戻りしてしまわないために、保定装置(リテーナー)を装着します。
最後に使ったマウスピースをリテーナーとして使うことも多く、保定期間は2ヶ月~半年に1回程度の通院に。保定期間終了後は、就寝時だけリテーナーを装着して歯並びをキープします。
まとめ
この記事を3行でまとめると
- マウスピース矯正とは付け外しが可能な透明の矯正装置
- 見た目や発音に影響せず痛みや違和感も少ないのが特徴
- さまざまな種類があり費用や治療期間も異なる
マウスピース矯正は、これまでの矯正に対するイメージとは大きく異なり、見た目の悪さや生活の不便さを大幅に軽減してくれる新しい矯正方法です。全体の歯並びをしっかりキレイにしたい人から、費用を抑えて見えるところだけキレイにしたい人まで、様々なニーズにこたえるマウスピース矯正治療が行われています。
それぞれの特徴を理解し、自分にぴったりのマウスピース矯正方法を選んで、なりたい自分への一歩を踏み出すのはいかがでしょうか。